京町家まちづくりファンドでは、平成18年度からこれまでに91件の改修助成事業を通して、京町家から広がる京都ならではの住まいづくりやまちづくりを応援してきました。
まちづくりの拠点となる京町家の改修事業や、歴史的な通りを修景する取組を募集し、第46回京町家まちづくりファンド委員会(令和3年8月23日開催)における、申請者からの改修内容の発表や厳正な審査を経て3件が助成対象として選定されました。
1. 吉田神楽岡旧谷川住宅群
令和元年度から3年連続の選定事業となりました。吉田山の東斜面に位置し、大正後期から昭和初期にかけて形成された数寄屋の町並みと眺望は守り伝えていきたい風景です。町内会で住宅群の歴史や景観についての勉強会をされるなど、積極的に修景に取り組まれています。
当ファンドでは、小さな修繕を無理なく継続的に行うことは、町内会単位や地域で取組む景観保全のモデルケースとなると期待しています。
■申請者:神楽岡山ノ手町内会
■工事内容:石垣と石畳道路側溝修復
■工期:令和3年10月~12月(予定)
2. 郭巨山町会所
郭巨山町の町家(ちょういえ)でもある祇園祭の会所、郭巨山町会所が選定事業となりました。四条通に面して現存する数少ない貴重な町会所です。100年先を見据えた増築による維持継承のための改修工事です。
当ファンドとしても祇園祭の町会所は船鉾町会所、八幡山町会所に次ぐ3件目の支援となります。増築を含む改修助成は初の事例であり、今後の京町家の改修における選択肢や可能性を広げる、重要な布石となることを期待しています。
■申請者:公益財団法人郭巨山保存会
■工事内容:屋根、外壁、外部建具、外構
■工期:令和3年9月~令和4年6月(予定)
3. 三条会商店街の町家(プレマルシェ三条京町家)
京都三条会商店街における、看板建築となっている京町家を伝統的な外観へと修復するプロジェクトです。改修後は、子ども食堂やフードバンク等の運営を通して、豊かな「食」につなげるきっかけとなる場となることを目指しています。
当ファンドとしても、看板建築も含めた京町家が建ち並ぶ商店街における改修工事は、京町家の保全・継承を訴える意味でもとても意義があることだと認識しています。商店街や地域全体での通り景観への意識の向上や、賑わいの創出につながることを期待しています。
■申請者:プレマ株式会社
■工事内容:屋根、外壁、外部建具、格子
■工期:令和3年9月~令和4年1月(予定)