活動実績

京都まちづくり学生コンペ

京都まちづくり学生コンペ2007 京都まちづくり学生コンペ2009

京都まちづくり学生コンペ2009

応募要項

「京都における近隣型商店のこれから」

趣旨

京都では、歩いて暮らせるまちづくりの推進や、高齢化への対応、安心・安全な地域社会の実現など、徒歩圏内の生活利便や地域コミュニティを充実させたコンパクトな都市像を模索していく必要が生じています。
一方で、これまで徒歩圏内の生活利便施設として機能してきた「近隣型商店街」は、業績不振や担い手不足による空き店舗の増加などで、近年、京都のみならず全国的に衰退傾向にあります。
本コンペは、地域の生活利便やコミュニティを支える都市機能としての「近隣型商店街」に対し、商店街に内在する人やモノ、仕組みなどを有効に活用し、今後のより豊かな生活を支える場として今一度展開していくためのアイデアを、広く学生のみなさんから求めるものです。

コンペの内容

テーマは「京都における近隣型商店街のこれから」とします。
商店街の現状を踏まえ地域コミュニティにおける豊かな生活を支える場としての近隣型商店街のこれからのあり方について、学生の皆さんからの幅広いアイデアを募集します。
提案内容は京都市内の近隣型商店街に対するものであれば対象地を問いません。商店街を核とした周辺地域のまちづくりや、商店街の個店・空き店舗の活用など、通りや建物に関するハードなものから、活動や仕組みづくりなどソフトなものまで自由に提案して下さい。
※本コンペにおける近隣型商店街とは、「地元住民が徒歩または自転車などにより日用必需品など日常の買い物をする商店街」とします。(参考HP:http://www.syouren.or.jp/c00049.html ※地域型商店街参照)
※入賞作品の中で、実現性が高く且つ商店街の期待に沿う提案については、次年度京都商店連盟の支援の下、提案者自身によるその実現化に向けた取組みを行っていく予定です。

応募資格・応募条件
  1. 日本国内の大学院、大学、短大、高等専門学校、専門学校等に所属する学生のグループまたは個人。専門分野は問いません。
  2. 応募者およびグループ構成者のうち1名以上がキックオフワークショップに参加して下さい。
  3. 応募に際しては、代表者(連絡責任者)1名及び所属する大学等の担当教員を明記してください。
スケジュール

応募登録期限:2009年7月31日(金)
キックオフワークショップ:2009年8月 8日(土)
フィールドワーク(任意参加):2009年9月予定
作品提出受付期間:2009年10月26日(月)〜10月30日(金)
第一次審査結果通知:2009年11月中旬
公開プレゼンテーション・第二次審査・表彰式:2009年12月予定
展示会:表彰式から1週間程度

応募登録について
  1. キックオフワークショップ
    本コンペの概要や京都の近隣型商店街に関する情報提供(商店街関係者による説明等)や、意見交換等を行います。※グループ応募の場合、1名以上は必ず参加して下さい。
    開催日:2009年8月8日(土)
    時間:13:00〜14:30(コンペ説明 他)15:00〜17:00(関連セミナー「地域に密着した商店街とまちづくりの接点〜頑張る商店街の現状とまちづくりで果たしている役割」)
    場所:(財)京都市景観・まちづくりセンター(問合せ先参照)
  2. フィールドワーク ※任意参加
    京都市内の近隣型商店街の現状を知る機会として、実際に商店街を歩き、商店街関係者との意見交換を実施します。(9月実施予定) 詳細についてはキックオフワークショップの際に案内するとともに、随時HPでの案内や参加希望者へE-Mailで連絡いたします。
提出物
  1. A1サイズ(594mm×841mm)のパネル1枚(横使い、厚さ5mm程度のスチレンボード等によりパネル化したもの、額装しない)
  2. 上記1のA3サイズ縮小版(パネル化しない)
  3. 概要書(A4サイズ、1枚)、概要書のフォーマットについては、9月初旬より(財)京都市景観・まちづくりセンターのホームページからダウンロードできます。
  4. 上記②、③のデジタルデータが入ったCD(②はPDFファイル、③はWordファイル)

※提出期間:2009年10月26日(月)〜10月30日(金)
※提出作品には、「応募登録番号」を記載してください。(②、③は裏面、④は様式右上欄)
※作品の表面には、応募者名・所属等が特定できる表記を禁止します。
※提出物(一式)は、小包郵便(書留)または宅急便で、期限内に応募提出先までお送りください。(当日必着)直接持参の場合は最終日の午後7時必着とします。

審査
  1. 審査基準
    a.近隣商店街の現状に対する理解と着眼点/b.新規性/c.実現性/d.表現力
  2. 第1次審査は、提出物をもとに応募者の氏名や所属を匿名にして行います。第1次審査通過作品は最大10点とし、全ての応募者に対して通過者の名称及びその所属をE-mailで通知します。(E-mailでの連絡先がない場合はお問合せください。)
  3. 第二次審査は、応募者による公開プレゼンテーションをもとに行います。表彰式も同日行います。

※審査結果について異議申し立てはできません。

審査委員会
委員長 河邉 聰(京都工芸繊維大学名誉教授 (財)京都市景観・まちづくりセンター理事)
委員 市村 勝(京都商店連盟副会長)
委員 金城一守(株式会社ゼロ・コーポレーション代表取締役社長)
委員 田中道雄(大阪学院大学教授)
委員 藤本英子(京都市立芸術大学准教授)
委員 山口洋典(同志社大学准教授、應典院主幹)

最優秀賞:1組 賞状及び賞金(20万円)と記念品
優秀賞:3組 賞状及び賞金( 5万円)と記念品
佳作 :6組程度 賞状と記念品

注意事項・その他
  • 1人の応募者が提出できる提案は1点のみとします。他のグループに参加し、提案することはできません。
  • 参加料は無料です。ただし、作品の制作費や郵送費、交通費など本コンペの参加にかかる一切の費用については、応募者の負担とします。
  • 提案内容及び提出物の記載は日本語とします。
  • 作品の返却を希望する方はご相談ください。
  • 提案されたアイデアについては、本コンペのテーマに関連するシンポジウムや関係者との意見交換の場で発表いただくこともあるほか、応募者の了解を得た上で、今後のまちづくりに活用される場合があります。
  • 提案内容の公表・出版・展示に関する権利は主催者が無償で使用できるものとします。
  • 本コンペの一連の取組みをまとめた「京都まちづくり学生コンペ2009・記録集」を刊行します。

(応募作品及び審査結果、講評、応募者の氏名・所属等を掲載します)

応募・問合わせ先 及び 公開プレゼンテーション会場

(財)京都市景観・まちづくりセンター(担当:中島・木戸)
〒600-8127 京都市下京区西木屋町通上ノ口上る梅湊町83番地の1「ひと・まち交流館 京都」地下1階 (河原町五条下る東側)
電話:075−354−8701  FAX:075−354−8704
E-mail:machi.info@hitomachi-kyoto.jp

主催など

主催:(財)京都市景観・まちづくりセンター
協力:京都商店連盟
協賛:(株)ゼロ・コーポレーション
後援:京都市、(財)大学コンソーシアム京都、京都商工会議所、京都新聞社、KBS京都、NHK京都放送局、(社)日本建築学会、(社)日本都市計画学会

受賞作品が決定しました!

12月6日(日)の公開プレゼンテーションで発表された10組の中から、第二次審査の結果、最優秀賞1作品、優秀賞3作品、佳作6作品が選ばれました。受賞グループの皆さん、おめでとうございます。そして、本コンペにご参加いただいた全ての学生の皆さん、沢山の力作をどうもありがとうございました!

審査委員長より

「皆さんから提出された作品は、いずれも若いアイディアとエネルギーの詰まった努力の結晶であり、今後色々なところで色々な人を通じて話題になり、全ての案が有効に生かされることを期待しています。」 審査委員長 (総評より抜粋)

< 最優秀賞 >
登録番号 タイトル グループ名 大学
(専攻)
対象商店街
123 奥でつながる 
〜古川町商店街ユースホステル化計画〜
三輪研究室 神戸大学 大学院 
(工学研究科/建築学専攻)
古川町商店街

※応募登録番号をクリックすると、作品を見ることができます。

< 優秀賞 >
登録番号 タイトル グループ名 大学
(専攻)
対象商店街
104 僕らの三条会商店街をふるさとに 神戸大学歴史研究室 神戸大学
(工学部/建築学科)
京都三条会商店街
125 マチをつくるツミキ 
〜HORIKAWA community market〜
松祖 神戸大学 大学院
(工学研究科/建築学専攻)
堀川商店街
139 夜街
〜夜の商店街を用いてサードプレイスを生み出す〜
大阪大学大学院工学研究科
建築都市環境デザイン学領域
大阪大学 大学院
(工学研究科/地球総合工学専攻)
西新道錦会商店街
< 佳作 >
登録番号 タイトル グループ名 大学
(専攻)
対象商店街
106 Gated Market
〜街区境界の明確化による古川町商店街の再生〜
京都大学伊從研究室 京都大学 大学院
(人間・環境学研究科)
古川町商店街
109 「ほりかわ」にぎわい計画 住生活学研究室 京都府立大学 大学院
(生命環境科学研究科/環境科学専攻)
堀川商店街
130 余所者若者馬鹿者の視点
京都七条商店街
音書 ※東京大学 大学院
(工学系研究科/都市工学専攻
※代表者所属
七条商店街
132 こむすび ジャパンダ 神戸大学 大学院
(工学研究科/建築学専攻)
新町商店街
133 「わたしたち」の商店街 三条会 KNS Upholders 東京大学 大学院
(工学系研究科/都市工学専攻)
京都三条会商店街
143 商店 “街(まち)”
〜堀川商店街を中心としたまちの地域活性化計画〜
高田・神吉研究室2 京都大学 大学院
(工学研究科/都市環境工学専攻)
堀川商店街
<全作品タイトル一覧>

「京都まちづくり学生コンペ2009 作品リスト_PDF」ダウンロード

※今後、京都市内の商店街におけるアイデア起用や記録集の作成に取り組んでいきます。

※提案の詳細や他の応募作品について知りたい、またアイデアを起用したいなどのお問い合わせについては事務局までお願いします。

審査員インタヴュー

審査委員会 氏名(所属)/ 専門分野
委員長: 河邉 聰(京都工芸繊維大学名誉教授、(財)京都市景観・まちづくりセンター理事)/ 建築学、生活空間
委員: 市村 勝(京都商店連盟副会長)/商店街運営
金城 一守(株式会社ゼロ・コーポレーション代表取締役社長)/企業経営
田中 道雄(大阪学院大学教授)/流通・マーケティング
藤本 英子(京都市立芸術大学准教授)/デザイン・景観
山口 洋典(同志社大学准教授、應典院主幹)/まちづくり
河邉 聰

河邉 聰

京都工芸繊維大学 名誉教授
(財)京都市景観・まちづくりセンター 理事
建築学、生活空間

あなたの今後の出発点となるものを提出して欲しい。
京都の全てを受け入れることを心がけること。 「ぜんぶ」という歌詞がある。「あなたの全部」を「京都の全部」と、このさい解釈したい。
京都という地域性、しかしそれに縛られることなく、国際性も必要だ。商店街を歩いている人に注目しよう。いつもの人、たまに見受ける人、めったに見ない人、初めての人、それはたぶん外国の人。
近隣商店街では、決まった人は毎日決まった時間に来る。しかし週一回の人もいる。毎月第一月曜日とか、年末だけの人もいる。むろん年始だけの人も。
古都・京都という過去の人々の生業、すなわち歴史を踏まえることは必要だが、その長い歴史に基づく新しい姿の提案は必須である。経営者の世代交代が進んでいる。お店に3代の顔が揃うと、客も3世代が並ぶ。ここのキーワードは「時間」。
毎日繰り返される日常生活があって、その普通の生活の中に突然予想外のことが入り込む。いつも来る人が、「今日は来ない」となると店は騒ぎになるし、逆に、めったに来ない人が来ると、店は華やかになる。

空間的にも時間的にも、過去の総てを受け止めて、しかしそこにとどまることなく、その上で、最新が求めている事象が盛り込まれるべきである。例えば、キーワードとして「省エネ」は強く意識される。

市村 勝

市村 勝

京都商店連盟 副会長
商店街経営

京都の商店街で組織された京都商店連盟の地域型商店街の特別委員長として、 地域型商店街の活性化を担い、また下京町衆フォーラムメンバーに属し、京都並びに下京の伝統文化の普及・発信に務めてきました。 まちづくりを如何にして進めるか、商店街人として、また地域住民として、多角的に日夜取り組みながら、伝統文化の承継・名所仏閣を守りつつ、 未来に伝えていくことが使命と思っております。
私の所属する嶋原商店街は、旧六花街の島原の門前商店街で、嶋原の花街の栄枯衰退と共に歩んできました。現在では、置屋の輪違屋さん、 揚屋の角屋さんが花街文化の粋として承継されています。商店街の活性化の為、歴史を承継した「太夫道中」イベントを挙行し、地域住民の方々や 遠来のお客さまに、広く喜ばれております。我々の周辺には、史実があふれ、西本願寺や東寺など世界文化遺産などが数多くありますが、若い方々、 特に学生さんには、京都の良さ、地域の良さ・魅力について、地域と触れ合うことで、もっと深く知っていただきたいと思います。

金城 一守

金城 一守

株式会社ゼロ・コーポレーション 代表取締役社長
企業経営

まちなかの商店街が疲弊しつつあるというのは古くて新しい事実です。なぜ疲弊し消滅の危機にあるのか。大きな問題は地域住民と商店街商人の高齢化にあると見ています。
まちあるき、特に商店街、市場でのまち歩きが好きな私は昨今の衰退に心を痛めている一人です。子供の時代あざやかに見上げた華やかな賑わいが蝋燭の灯火を消すようになくなりつつある。これは本当に時代の趨勢なんだろうか、それともなにかの工夫で持ち直すことが出来るのか。
商店街が好きだと言っても、私はそこで買い物をする訳ではなく賑わいを愉しむだけの通りすぎる人です。若者は巨大スーパーで買い物をし、老年は消費を控えつつある。わたしの年代はそこを懐かしむだけで買い物もしないで漂う。古きよき時代の賑わいを取り戻したいと思いながらその実、生きた遺跡のように扱う。商店街は実に複雑な問題を孕んだ賑わいスポットです。これを学生の皆さんがどのように感じるのか、本当に活性化に近づく提案が出来るのか、極めて面白い試みです。

田中 道雄

田中 道雄

大阪学院大学・経営学部 教授
流通・マーケティング

「京都の魅力としての商いの場」
近年、パリの街でも再び、商業のアーケード街であるパサージュが人気を集め、9月の祖国愛の日の頃には、パサージュを巡回するイベントが大々的に催されている。そこには、街と一体となった商業施設の楽しさが見直され、パリを楽しむ遊歩者(フラヌール)のように、どこか懐かしい雰囲気が息づいている。
街の面白さとは、こうした地域の文化、地域の気配と関わるなかでの体感そのものである。シヨッピングセンターにみられる単に機能的で 無機質な商業力ではなく、人と街と商業が微妙に絡み合い溶け合って、新しい次元へと昇華する。そこでは、出会いの楽しさを持つ「場の価値」 が求められているのである。
京都における近隣商店街は、まさにこうした雰囲気のなかにあるといって良い。
とりわけ京都では、商店街のなかに、寺もあれば社もある。素晴らしい個性のある名産があるかと思えば、変哲のない店も立ち並ぶ。歴史に 彩られた店もあれば、昨日今日の新店もある。しかし、こうしたどこにでもあるような小さな店のありようこそが、まさに京都そのものであり、 京都にしかない底力なのである。そしてこの店が立ち並ぶ路地のそこかしこに、旅人をして歴史へと誘う扉が隠されている。
京都は、世界に開かれた街だ。今、あなたが歩いているその路地を出て、角を曲がったところに、パリやロンドンへの道がポッカリと開いている。 その道は、あなたが考える類いまれなイメージのなかから生まれ、閉ざされていた魅力的な姿を表す。京都の近隣商店街は、今、あなたによる 思いがけぬ発見を心待ちにしているのだ。

藤本 英子

藤本 英子

京都市立芸術大学 准教授
デザイン・景観

魅力的なまちには色々な要素があります。美しく整えられた街路と町並み、ゆったりした緑のあるオープンスペース、人々の結節点となる賑わいのある駅、 そしてそこに住む人々の魅力。そんな魅力に一番出会えるのが市場や商店街ではないでしょうか。
私は初めてのまちを訪れると、必ず市場や商店街を訪ねます。そこは、その地域独特の食文化などの生活文化が、生で伝わってくる場になっているからです。
商品はもちろんのこと、その売り方や商店街名の入ったゲート、路面の模様、アーケード、そこに付けられた賑わい演出の様々な飾り付けまでが、地域の個性を演出して、物を売るだけの場ではない何かが伝わってくるのです。まずは、そのような商店街の魅力を探し出して下さい。名物店主や名物看板にもきっと出会えることでしょう。
でも、大型店進出による衰退や事業継承の問題など、糸口を見出しにくい問題にも出会うことでしょう。さあ、みなさんの出番です。一般的な課題を解決するのではなく、みなさん自身が現場で感じたことを大切にして、提案してください。
提案は、公開され商店街の人々にも届きます。わかりやすく表現することで、現場で出会った人たちにも伝わるように心がけて下さい。
わくわくしながら毎日でも訪れたくなるような、魅力的な提案を期待しています。

山口 洋典

山口 洋典

同志社大学・総合政策科学研究科 准教授
浄土宗・應典院主幹
まちづくり

2007年度に引き続き、審査員をさせていただきます。 前回は京都市内中心部の小学校区単位でのまちの有り様について、ハードとソフトの両面から総合的に提案する、というものでした。 そして、4つの学区それぞれに多彩な提案が寄せられ、「回覧板の現代化」や「路地の通り抜け」など、それぞれのグループのこだわりと 、各地域の特徴が絶妙に織り交ぜられたものに、審査委員から特に好感が持たれていました。「商店街」という具体的なテーマが掲げられた今回、 果たしてどのような創意工夫が見られるか、今から楽しみです。
今回の提案の中で、ぜひ期待したいキーワードが2つあります。それは「生活者」と「当事者」です。これらのことばが重要であるという背景にあるのは、 皆さん自身もまた、「近隣型商店街」を利用する立場に立って、具体的かつ実現可能性のある提案を考えていただきたいという願いを抱いている、 ということです。現状の適切な分析の上で、過去の知恵に学び、そしてよりよい未来を構想し設計する、そんな学生の皆さんの情熱に大いなる 期待を抱いております。