活動実績

講演摘録

京町家のこれまで

京都大学名誉教授 三村 浩史 氏

今日のテーマは京町家ということです。町家というのは日本の都市のなかでも城下町とか、いろんなところで営業と住まいが一体となった都市住宅あるいは都市建築の典型で、別に京都だけではありません。しかし、近代化の過程で、あるいは第二次世界大戦で燃えたり、戦災復興区画整理が行われて、だんだん消えてきました。幸い京都の場合は戦災を受けなかったので戦前のものがよく残っています。どれくらい古いかというと、禁門の変の時に都心部は燃えていますから、せいぜい100年とか150年の歴史のものです。 しかし、明治の初めの頃の復興は、新しい建材とか建物の技術革新などもなく、昔のまちなみを壊してしまうようなこともなかったため、近世からの町並みがよく継承されています。また、そこに住んでいる町衆というもの、京都には老舗なんかも結構多いですが、ずっと住み続けるということは割に少なくて、商売には栄枯衰退がありますから、まちなかで、町家という基盤のなかでそれを流通させて、住み替えながら町をつくってきた。町を運営してきた町衆の伝統を基調とする市街地やまちなみが、一体的に生き続けていたというところが他の都市とは大いに違うところです。

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