京都大学名誉教授 三村 浩史 氏
京都の町家は都市建築史から見ても面白いし、都市計画上も重要ということをいい始めたのはかれこれ40年位前ではないかと思います。京都の大学には工学部でありながら建築史というなかば文系の講座がありまして、昔は社寺建築、宮殿建築、城郭建築とかの建築史をやってきたのですが、戦後は民家の歴史、京町家の歴史を解読してきた先生方が何人もおられます。京都の町衆の歴史と結びつけて町家の特性を明らかにされた、これが第一世代。次に、町家とまちづくりをあわせて京都の特性を出さないといけないと言い始めたのが第二世代。たとえば滋賀県立大学の学長をなさっている西川幸治さんで、町家を大事にするまちづくりが京都にとってとても大事だと言い出したことが評価されます。また、町家とコミュニティの暮らしを解読していったのが上田篤さん、さらに島村昇さん、間之町にあったご自宅の町内を歩いて回って間取りを取って「京の町家」という本を出されました。まちづくりと一体となる町家の暮らしの価値をアピールしてこられました。私なんかは都市計画が専門ですから、まちづくり体制を強めて、京都の都市景観とか、町並みの雰囲気や特性を出すためには、それを保全したり、維持するしくみ、社会的なしくみを作らないといけないと取り組み始めたのが第三世代といえるかと思います。