活動実績

まちづくり交流博 特別企画(2002年11月開催)

概要

パネル前での交流
パネル前での交流

「第1回交流博」で発信された67組全てのパネル展示と、次回の「京都まちづくり交流博」の企画に向けて、様々なアイデアを出し合うワークショップ「もっと育てよう!京都のまちづくり」を開催しました。

パネル展示

グループでの意見交換
グループでの意見交換

「第1回 京都まちづくり交流博」に引き続き、「まちづくり発信」で作成されたパネルを5日間にわたって展示しました。パネルの前スペースには、広報誌や出版物、伝言メモなどが置かれ、多様な情報の交流が展開されました。また、会場にはインターネットに接続できるコンピューターを置き、「みあこねっとプロジェクト SCCJ」の協力によりパネルを展示している団体のホームページを見ることもできるようにしました。
期間中、約200名の方が足を運ばれ、「これほど沢山の取組があるとは驚いた」「どの取組も『オンリーワン』だと感じた」等、活発な京都のまちづくり活動に刺激を受けておられたようです。

ワークショップ「もっと育てよう!京都のまちづくり」

【全体コーディネーター】

乾 亨 氏(立命館大学産業社会学部 教授)

【ファシリテーター】

石本 幸良 氏(立命館大学産業社会学部 非常勤講師)
大森 靖子 氏(京都市景観・まちづくりセンター プロジェクトディレクター)
佐藤 友一 氏(京都市景観・まちづくりセンター まちづくりコーディネーター)
中井 徹 氏(京都市景観・まちづくりセンター 事業課長)

ワークショップは「もっと育てよう!京都のまちづくり」をテーマに「つながりを創ろう」「景観・まちづくりセンター(以下「まちセン」)を使おう」「できたらいいな、こんな『まち博』」等について、活発な意見やアイデアが出されました。

当日は交流博で発信された方や京都のまちづくりに関心のある様々な方が約40名参加され、4つのグループに分かれてワークショップを行いました。「顔の見える関係をつくりながら交流する」「メイン会場と複数のサブ会場を設けて、それぞれの団体が運営する」等様々なアイデアが出され、「みんなが関わり合いながら、京都のまちづくり・交流博を育てよう」ということが確認されました。

あいさつ・オリエンテーション

まちセンの専務理事・西島篤行から、「本日のワークショップは、いわば、京都のまちづくりを盛り上げるための企画会議。京都のまちづくりを担う皆さんの交流の場『京都まちづくり交流博』が、さらに魅力的になることを目指して、その方法を皆さんとご一緒に考えたいという思いから『もっと育てよう!京都のまちづくり』というタイトルを付けさせていただいた」「まちセンは、来年の春に菊浜小学校跡地に建設中の『ひと・まち交流館 京都』に移ることになっており、新しい施設で様々な事業を行うので、今まで以上の皆様の参加とご協力を頂戴したい」とあいさつがありました。
その後、「第1回 京都まちづくり交流博」を振り返り、成果・課題の確認、ワークショップのプログラム及び獲得目標の説明等を事務局で行いました。

グループワーキング

グループワーキングでは、全体コーディネーターの乾氏から、ワークショップの進め方、コツなどの伝授がありました。
今回のテーマは「つながりを創ろう」「まちセンをもっと使おう」「京都まちづくり交流博を企画しよう」の3つで、意見やアイデアの出し方、付せんの使い方、価値共有の図り方などが示されました。

【進め方】

○自己紹介 「○○をしている△△です。今日は××を期待してきました」「まち博では、□□を感じました」というフォーマットで一人2分以内で行う。

○STEP1:つながりを創ろう・まちセンを使おう! 日常的なまちづくり活動のつながりをどう創るかを検討。さらに、今後もっとまちセンを活用する方法についても、アイデアを出し合う。

○STEP2 :できたらいいな、こんな『まち博』 次年度に実施予定の「第2回まち博」について、企画概要、運営方法等についてアイデアを出し合う。また、これに向けた体制についても検討。

発表

「つながりを創ろう」

<Aグループ>

○情報交流の方法としては、メールを活用する。まちづくり団体のメーリングリストを使ったり、ホームページを活用する。
○交流博のような機会を増やすことが大事。
○「人の派遣・お助け隊の登場」。色んな専門知識や技術を持っている人たちの情報に関する交流も必要。
○「参加のためのバリアフリー」。まちづくりに参加したいけど色んな制約があって参加できない人を助ける仕組みづくり(子どもを預かるなど)。
○ 「男よ立ち上がれ」。特に20,30代の男性が少ないので、このような方にも参加してもらえる工夫が必要。

<Bグループ>

○情報発信、発表する場が欲しい。パソコンの活用、新聞やビラの配布、冊子にまとめるなど。
○簡単に情報交流できる仕組みが欲しい。パソコン活用のお手伝いやマニュアル、システムがあればよい。
○人間同士のつながりが大切。共感する人を増やしたり、お手伝いしてくれる人が欲しい。

<Cグループ>

○イベントの後のつながりがあまり上手くいっていない。イベントはあくまでも手段で目的が大事。情報の発信が必要。
○各団体は得意技を持ち課題を抱えているが、実際はそれがよく見えない。それが見えるような場所が必要。
○「まちづくりは委員会の人たちだけがやっている」と言われることがないように、なるべく多くの住民が集まる必要がある。
○よその学区や京都市全体についての情報や知識をいっぱい仕入れて、住民が取捨選択する。

<Dグループ>

○まちづくりは「ハコ」と「暮らし」の両方が必要。
○交流にはまず、参加することが必要。皆さんに参加してもらうには、盛り上がりが必要。そのためには、祭!
○課題として、ソフト活動は目に見えにくく、内容がわかりにくいこと。それを払拭していく必要がある。
○地域内で内発的に行うことが理想だが、内部で沸いてくるのはなかなか難しい。外部の人もかかわることで、地域の人の関心が高まり、まちづくりへの参加のきっかけになるのでは。
○情報については、「見ないと損するよ」というような、内容の充実した情報を配る必要がある。

「まちセンを使おう」

<Aグループ>

○「堅苦しくなく、京都の縁側的なまちセンであって欲しい」。
○できるだけ多くの人を呼び込む仕組みを創って欲しい。
○市民活動マップの作成、障害のある人も気軽にこれるようなバリアフリーな仕組み。

<Bグループ>

○団体、イベントなどまちづくり情報のデータバンク機能を持って欲しい。
○まちづくりボランティアの人材バンクをつくり、マッチングして欲しい。
○色んな人が自由に出入りし、交流できるサロンが欲しい。

<Cグループ>

○まちセンは、地域の抱える得意技などの情報の拠点となって欲しい。
○まちセンばかり頼るのではどうかとも思うが、まちセンにも力になって欲しい。
○上手に人を巻き込むことを考えて欲しい。

<Dグループ>

○ソフト・ハード両面を持つまちセンに。
○誰でも使えるデーターベースになるまちセン。
○情報交換のできる場に。

「できたらいいな、こんな交流博」

<Aグループ>

○メイン会場以外にもサブ会場をいくつか設け、色んなまちづくりの現場に行けるようにして、スタンプラリーを行う。
○まちづくり自慢を行ったり、実際に体験してもらう場を作る。
○「飲んで交流する」。
○このようなイベントは一過性では終わらない。続けていくことが大事。
○異分野との交流も大事。「ひと・まち交流博」として開催。

<Bグループ>

○分科会の枠を越えた参加型、体験型のイベントが欲しい。身近なテーマで参加した人が主体的に関わりを持てるような形が望ましい。
○一番大事なのは、人と人の交流。事前に発信者の顔合わせをして交流を深める。
○それぞれの活動で生み出されたもの・こと・ひとの交流が大事。各グループの発表、動く画像や実演で発信。
○期間は、1ヶ月くらい設定。パネル展示を常設に。
○運営は、各団体からスタッフを募集し、学生と合同で行う。

<Cグループ>

○まちづくりをしている現場を見ることが大事。
○まちづくりのテーマごとに企画をして、分科会をして、企画自身を市民参加で行うことが有効。

<Dグループ>

○1カ所でするのではなく、出前の「まち博」を行う。パネルを出張させ、1年くらい掛けて巡回展示する。
○発信の形としては、統一された形ではなく、団体ごとにパネルの形や大きさが変わっていても良い。
○映像を使った発信もあっても良い。プロジェクターを活用することがあっても良い。
○もっと大学を使おう。まち博を大学の講義と連携させ、まち博に参加すると単位が取れるようにする。

全体での共有

グループワーキング、発表のあと、コーディネーターの乾氏をぐるりと囲んで、全体で意見交換、共有を行いました。

「まちづくりって、こういうことなんだ!」

○「まちづくり」とは、個人の生活を個人が楽しみ、その結果がまちに反映されるものだと思う。最初からフレームを創ってまちを創ろうというのはどうか、と思う。最初から「まちづくりをしよう」「町家を保全しよう」という話はない方が良いと思う。まず楽しいことをしよう、というところからはじめたらいいと思う。

○京都は学区制があり、学区内の取組がバリアになる場合と、スムーズに進む場合とに分かれてしまう。この辺りをどう調整するのか、ということが今後の課題になると思う。

○私たちは、色々取組をしているが、楽しい。まちづくりという言葉が最近よく使われるが、最初の時には、まちづくりという概念はよくわからなかった。しかし最近は「何や。いつもやってることやないか」ということがわかった。色んな人が顔を合わせて、互いに知っている、ということがまず大切ではないかな、と思う。

ドンドン発信して、つなげよう!

○住んでいる人それぞれが「快適だ」と思うのではなく、「このまちに暮らすことは快適だね」という価値の共有も必要。

○京都には、学区内の取組だけでなく、外部からの力を上手に活かしながら取組を展開している地域も多い。「専門家だから」という判断だけでなく、参加してもらう相手の得意技を見極める必要があると思う。地域の活動が成熟していると、そのようなマネージメントができると思う。

○(他府県に住んでいる目から見て)自分たちのまちづくりを取材をさせてあげる、というメディアの活用もあると思う。この仕組みが長期滞在型の観光にもなるし、フィルムの映像で保存されることにも繋がると思う。

○外からの視点で、混乱した関係をスッキリとさせることもできる。

○地域の中で取り組む力が育たないと、外の力は使えない。一方で、自分たちの力を蓄えるためにも外の力は必要。

「もっとまちセンを活用しよう!」

○私たちはまちセンにも色々協力して貰っているが、それは最初の段階の話。

○まちセンの「地域まちづくりセミナー」は面白く、大事な取組。やっていることは勉強会なのだが、それがきっかけになってまちづくりを始めたり、専門家を呼んだりしている。

「まち博を育てよう!活用しよう!」

○第1回より、もう少しプラスαが欲しい。

○画一的でない、動きのあるまち博にして欲しい。

○人選も含めて、要請があれば、取り組んでいきたい。

○「まちなかを歩く日」の京都全域版というようなイメージ。それぞれが取組むことで参加する、という形。自由に取り組んでいることが面白い。主催者は全部管理しなくても、それぞれがブースのような形で発信する。

全員での意見交換
全員での意見交換

最初は「まちづくり」という言葉に関する問いかけからはじまり、京都の取組に見合った新しい「呼び名」があっても良い、ということを共有しました。加えて、今日の集まりを契機に、みんなでやろう!かかわろう!という確認・共有を行いました。
最後に、まちセンの次長・平家直美から、「今日はポストイットで200強ものアイデアが出された。皆さんと一緒に検討することは、様々な角度から意見が出る上に、何より楽しい。今日いただいたアイデアを大切にしながら、次回の検討を進めたい」「まち博だけでなく、まちをよくしていく、まちづくりをしていくという段階から、皆さんと一緒に考えていきたい。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。今日は本当にありがとうございました」という言葉で閉会しました。