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07 加藤邸✕クレール京都西陣店

07 加藤邸✕クレール京都西陣店

建物活用 松本洋子さん(クレール関西・東海統括マネージャー)

加藤邸は、西陣で代々続いてきたビロードやお召の織屋さんです。

建物は大正5年の建築と伝えられ、奥に織機を置くための二層吹抜けの空間を有する規模の大きな織屋建ての京町家です。

平成23年1月に、京都市の景観重要建造物、歴史的風致形成建造物に
指定されています。

織屋建の特徴を表す妻面

 

所有者の加藤さんは、この京町家を大切にされ、最近まで、往時の織機や道具等もそのまま保存されていました。ご自慢の井戸水を使ったイベントなどにも場所を提供され見学の機会を提供されてこられました。そして、今後とも適切に維持管理をしていくために、京町家の良さを理解し大切に使ってもらえる借り主を探されていました。その時に、当財団の京町家カルテを取得されたご縁があり、活用についてのご相談を受けることになりました。


大きな吹き抜け空間(改修前)

京町家等継承ネットの大型町家プロジェクトの仕組みを利用して、加藤さんのご希望に叶うような借主を探した結果、ブライダルフォトスタジオのクレールが建物全体の改修工事を行って入居することが決まりました。

当初から本プロジェクトに関わってこられたクレール関西・東海統括マネージャーの松本洋子さんに、お話を伺いました。
「クレールは、奈良に本拠を持つ㈱キャラットが運営するフォトスタジオで、関東、関西、東海の主要都市に営業展開を行っています。これまで拠点としていた岡崎のスタジオからの移転先を探していた時に、この町家に出会いました。京都らしい雰囲気を打ち出せる場所を考えていたので、京町家というのはちょうどよかったのですが、選択することは自分たちにとっても新しい挑戦でした。フォトスタジオには天井が高いスペースが必要条件となるので、どの町家でも良いというわけではない中で、この町家は、ベストマッチでした。

吹抜けを生かした撮影スタジオ
火袋を見上げる衣装陳列スペース

リノベーションは、町家の良さを生かして、あまり手を加えない方針で行いました。急な階段など、利便性上は不都合なところがないわけではありませんが、スタッフもここの雰囲気はとても気に入っています。使い方も自分たちで考えようとしており、色々な可能性があるかなと思っています。今では、町家であることを評価して来てくださるお客様もいらっしゃいます。

畳敷きの撮影スタジオになったミセノマ
2階の写真セレクト・打合せコーナー

所有者の方が大切にされている町家なので、この町家の良さを活かせるような取組についても皆で色々考えて実現し、末永くこの町家と付き合っていきたいと思います。昔と比べると姿は変わっているかもしれませんが、所有者さんの思いはそのまま引き継いでいきたいと考えています。」
クレール京都西陣店 http://www.kyoto.s-claire.jp

所有者の加藤さんにもお話を伺いしました。
「祖父が105年前に現存の織屋建ての京町家を笹屋町に建てました。笹屋町は西陣織の中心地で、地蔵盆に合わせた「造り物」は多くの屋台も出て大変な賑わいでした。西陣織を継いだ父が亡くなり私は織屋を継ぎませんでしたが、貴重な京町家をなんとか保存してまいりました。このたびまちセンや継承ネットのご尽力によりフォトスタジオのクレール様にご活用頂き有難いことです。西陣の地の利を生かした今後の活動を期待します。」

京町家の空間を生かしたフォトスタジオ

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